会田誠さん×八谷和彦さん×小谷元彦さん

出版記念トーク・イヴェント

 

2005年12月10日、青山ブックセンター本店にて、『アートの仕事』の出版を記念して、著者のうち、会田誠さん×八谷和彦さん×小谷元彦さんによるトーク・イヴェントが行われました。その内容をダイジェスト版で掲載しています。

 

 

 

 

 

太陽レクチャー・ブック・シリーズ(平凡社)

池袋コミュニティ・カレッジでの「講座太陽」のレクチャーをもとにした単行本のシリーズです。

 

  

    

004  『アートの仕事』

 

■タイトル:太陽レクチャー・ブック004 アートの仕事

■著者:会田誠 池松江美(辛酸なめ子) 小谷元彦 

     グルーヴィジョンズ 小林孝亘 都築響一 

     八谷和彦 MOTOKO

■企画・編集・インタヴュー・文:平林享子(クローバー・ブックス)

■ブック・デザイン:groovisions

2005年11月10日発行  

■232ページ(巻頭口絵カラー16ページ)

■定価:1890円(本体1800円+税)

■発行:平凡社

   

  

 

  

【もくじ】


巻頭 カラー16ページ
会田誠の作品                  
池松江美の作品                 
小林孝亘の作品                 
都築響一の作品                 
グルーヴィジョンズの作品             
MOTOKOの作品                 
八谷和彦の作品                 
小谷元彦の作品                 

◇レクチャー01  会田誠×池松江美×藤城里香
アーティストとギャラリーの関係1
「デビューしたい人は、有望なギャラリーを見つけて、ギャラリーと一緒に成長すべし!」


◆インタビュー01  会田誠
「結局のところ、頼りになるのはインスピレーション、ふと浮かぶイメージですね」


◇レクチャー02  小林孝亘×荻田徳稔
アーティストとギャラリーの関係2
「ギャラリーのおかげで、ずっと海外にいて絵を描くことに専念できます」


◆インタビュー02  小林孝亘
「光とか、夏とか、子供の頃に培ったイメージ、自分のなかにあるイメージが、作品のベースになっている」


◇レクチャー03  都築響一
アートと人生の関係
「アートって、安全圏にいてできることじゃない。思い切って崖から飛び降りるスピリットがないと意味ないんだよ」


◇レクチャー04  グルーヴィジョンズ×MOTOKO
アートとデザインの関係
「クリエイティヴが、必ずしもファイン・アートである必要はない。ものづくりにも、いろんなやり方があっていい」


◆インタビュー03 グルーヴィジョンズ
「言葉をそのままヴィジュアルに翻訳しても、つまらない。そこでマジックを生み出せるのが、デザイナーの力量ですね」


◆インタビュー04 MOTOKO
「自己満足でものをつくるのは、ゴミを出すだけ。世の中に投げるべきテーマをいつも考えてます」


◇レクチャー05  八谷和彦×小谷元彦
アートとお金の関係
「予算が少なくても、なんとかいいものをつくろうと工夫して、面白いことをできるのがクリエイターなんだと思う」

◆インタビュー05 八谷和彦
「僕がなぜ美術作品をつくるのかというと、根本的には自分の魂を磨くためです」


◆インタビュー06 小谷元彦
「美術作品のよさって、そこにエネルギーを注ぎ込んで凍結できることだと思う。それが色気になる」


あとがき

 

  

本書は、アーティスト、写真家、デザイナー、ギャラリストによるレクチャーおよびインタヴュー集です。池袋コミュニティ・カレッジで2004年4〜8月に行われた「講座太陽 アートの仕事」でのレクチャーに、追加インタヴューを加えて構成したものです。


「アーティストになりたい」「アート関係の仕事につきたい」と思っている人に向けて、プロの方々に経験談を語ってもらい、何か指針やヒントやパワーやインスピレーションを与えてもらえたら、というのがこの講座の趣旨でした。そして、追加インタヴューでは、それぞれの方の創作活動や作品について、さらに詳しくお話をうかがいました。
     
「頑張りすぎる病気の藤城さんのおかげで、頑張れない病気の僕が、なんとか社会的に作家として活動できてるわけで、ある意味、僕にとっては幸運なカップリングだと思う」と会田誠さんが語っているように、アーティストを支えるギャラリストも、非常に重要な存在。なので、今回は、ミズマアートギャラリーの藤城里香さん、西村画廊の荻田徳稔さん、ふたりのギャラリストの方にも講師になっていただきました。

レクチャーでは、学生時代のことに始まり、どのような変遷を経て今日に至っているのかという軌跡、デビューのきっかけ、挫折と試行錯誤、軌道修正、転機、心境の変化、そういったことを、だいたい皆さんに共通して根掘り葉掘りうかがっています。

レクチャー01は、会田誠さん×池松江美さん×藤城里香さん。芸達者にしてサービス精神の鬼のようなお三方は、緊迫感と脱力感が交錯する不思議なテンションで、息の合った絶妙なトークを見せてくれました。ユーモアとアイロニー満載です。

会田誠さんへのインタヴューでは、「生涯一河原乞食」というアーティストとしての基本的な姿勢、会田さんのとらえる日本の芸術の特徴などが、随所に自虐的なユーモアを織り交ぜつつ、真摯に語られています。

レクチャー02は、画家の小林孝亘さん×西村画廊の荻田徳稔さん。タイのバンコクにアトリエをもち、ふだんはバンコクで制作していて、展覧会のときだけ年に1回くらい日本に帰ってくるという創作スタイル、それを可能にしているギャラリーとの関係などについて語られています。

小林孝亘さんへのインタヴューでは、リアルを追求するために省略して描くという、小林さん独特の味わい深い絵が生まれる背景についてくわしく語ってくれています。絵と同様、小林さんのトークにも飄々としたユーモアが漂っています。

レクチャー03は、都築響一さん。杉本博司さんの写真とチンパンジーのミッキくんの写真を比較したり、さまざまな作品を例に挙げつつ、都築さんならではのアート観がめくるめく展開します。「日本人はエロに関するクリエイティヴィティが世界一すごい」と主張する都築さんらしく、秘宝館、ラブホテル、イメクラなど、世間ではアートとは思われていないけれども日本人の創造性が素晴らしく発揮されたアレコレを紹介してくれています。また、都築さんを創作活動に駆り立てる原動力になっている怒りと使命感についても語ってくださいました。面白くって勇気づけられる非常にパワフルなレクチャーです。

レクチャー04はグルーヴィジョンズの伊藤弘さん×MOTOKOさん。グルビがデザインしたMOTOKOさんの写真集を例に挙げて、写真家とデザイナーの関係について、また、ファイン・アートのフィールドにこだわらずにさまざまなフィールドで創作活動をし、それを着実に仕事にしているスタンスについて、それぞれの考えが語られています。

グルーヴィジョンズ伊藤さんへのインタヴューでは、デザイナーにとって大事なことは何なのか、デザインとは何なのか、というシンプルかつ根源的な問題に対する伊藤さんの考えや、ものづくりにおける基本的なスタンスについて、非常にクリアに語ってくれています。シリーズ001『グラフィック・デザイナーの仕事』でも、伊藤さんには、これまでの活動などについて語っていただきましたが、今回はまた違った角度からいろいろと質問し、丁寧に答えてくださいました。

MOTOKOさんへのインタヴューでは、大学卒業後、一時は普通に働いていたものの、やはり写真をやっていきたいと思い、ロンドンで写真を独学した経緯、MOTOKOさんならではの写真観、写真への思いについて語ってくれています。

レクチャー05は、八谷和彦さん×小谷元彦さん。デビューのきっかけから今日までの軌跡、創作の基本スタンス、それから予算の問題などお金の問題についても語ってくれました。「ちゃんと機能があって使えるものをつくる」という八谷さん。小谷元彦さんは、学生時代のことから、ヴェネツィア・ビエンナーレにも出品した映像作品〈ロンパース〉の制作裏話などなど。

八谷和彦さんへのインタヴューでは、新作〈フェアリーファインダー〉(妖精を見る機械)などに触れつつ、テクノロジーと身体感覚、テクノロジーとコミュニケーションなど、八谷さんの作品に流れる一貫したテーマ、その奥に秘めた思想について語ってくださいました。八谷さんの作品を見ると、夢と希望、未来へのヴィジョンを感じるのですが、その理由が、このインタヴューを読んでいただくとよくわかるのではないかと思います。

小谷元彦さんへのインタヴューは、ラストを飾るにふさわしく、笑いと衝撃と感動に満ちた非常に濃い内容になっています。仏像が彫りたかった高校生時代、最初の個展「ファントム・リム」から最近のガンダム展まで、これまでの活動を振り返りながら、それぞれの作品の意図、独自の美意識、美術への思いについて、真摯に語ってくださいました。

とにかく皆さんの言霊がギッシリ詰まった、エネルギーに満ちた本になっています。将来について迷ったり悩んだりしているアーティストの卵たちに読んでもらえば、現状を打開するヒントがたくさん詰まっていると思いますし、非常に勇気づけられると思います。

           

◆ちょっと裏話◆

◆『Artists Talk』という英語タイトルは、柴田元幸先生が考えてくださいました(感涙)!! 英語コピーを考える際にも快くお知恵を貸してくださって、本当に感謝しております(号泣)!!

◆帯に「Jump ! Over the Border!」という言葉を掲げました。敬愛する古橋悌二さんの遺作となったインスタレーション〈LOVERS―永遠の恋人たち〉で投影される言葉「DO NOT CROSS THE LINE OR JUMP OVER」(線を越えるな、さもなければ飛び越えろ)を下敷きにさせていただきました。この本をつくるそもそもの動機となったのは、1994年に古橋さんにインタヴューさせていただいた際に、古橋さんがおっしゃった、「新しい人間関係の海へ、勇気をもってダイヴする」という言葉(〈LOVERS〉という作品をもし言葉にするとしたら?という質問に対して古橋さんが答えてくださったもの)、古橋さんの存在が、10年経って私のなかで、ますます大きく反響してきたことでした。